労働問題事件簿1(事業主の皆様へ)
現在、会社と労働者の間で様々な問題が発生しています。中でも賃金にかかわること、年金・健康保険に関すること、失業保険に関すること等、身近で差し迫っているわりには、非常に複雑でむずかしい問題ばかりです。その中からいくつかご紹介しましょう。
事件簿1 解雇予告手当
使用者は労働者を解雇する場合、少なくとも30日以上前に予告するか又は30日分以上の平均賃金を与えなければならない。 この法律を悪用する労働者がいました。
その人(Bさんという)は、入社日以降、まじめに与えられた業務を何の不平不満も 口にせず続けていました。しかし、ある日を境に態度が豹変しました。上司の言うことにあまり従わなくなり、目に見えて勤務態度が悪く、以前とはまったく別人のようになってしまったのです。
その事に気づいたその会社のA社長は、Bさんに勤務態度を改めるよう忠告しました。
しかし、Bさんはその忠告に耳を貸さず、やむを得ずA社長はBさんを解雇しました。
後日、Bさんから平均賃金の30日分の請求があったのです。
解雇をする場合、労働者の責めに帰する事由が無い場合は、予告が必要です。雇用形態にもよりますが、正社員と呼ばれる一般の労働者(期間の定めの無い労働者という)は、入社日から14日を超えて引き続き使用された場合、解雇予告が必要になるのです。
Bさんはこの法律を悪用して、14日間はおとなしく、その次の日以降態度を変えたのでした。
この場合どうなるかと言いますと、Bさんの勤務態度が、“労働者の責めに帰する事由”に値するかどうかの有無を客観的にみて判断することになります。
“無い”とみなされますと、30日分の平均賃金を払わなくてはなりません。
事件簿2 有期雇用労働者の解雇
‘事件簿1’と似ていますが、一定の期間(4ヶ月を超えて1年未満が多い)雇用される労働者で同じような問題が起こりました。
古い気質のC社長が、3ヶ月前6ヶ月間の契約で雇い入れたDさんを突然解雇しました。入社日から日がたつにつれてDさんの勤務態度が悪くなってきたためです。
仕事の命令に従わず、すぐ反論する。上司を呼び捨てにする。遅刻・早退等。見かねたC社長が他の社員の前で“クビだ!明日から来なくていい”と、叫んでしまったのです。
有期雇用契約を解除するには、使用者、労働者双方の合意が必要です。それが使用者側からの場合、残りの期間の賃金を補償しなければなりません。このことも‘事件簿 1’で定義した“労働者の責めに帰する事由”に値するかどうかの有無が問題になります。
ただし、解雇予告手当と違い、残りの期間(たとえば3ヶ月間)全部の賃金を補償しなくてはならないことです。
このように、現在、悪意のある知的労働者による確信犯が増えてきています。根底には長引く不況、格差社会に原因があるのかもしれません。しかし、最も大きな影響を及ぼしているのは、インターネットの普及だと思われます。“サービス残業”、“解雇”で検索するだけで、何万件もの情報が手にはいるのです。
経営者の法律知識の少なさとは逆に、労働者は権利の主張とそのための法律武装を以前より身につけつつある。
ではどうすればいい?
経営者の方も労働法を良く知ることです。問題を未然に防ぐため、労働条件等を明記した労働契約書を作成し、必ず契約時に交わす。また、就業規則の整備も必要です。懲戒規定において、勤務態度に関する詳細な対応まで記載することなど。
採用の段階から注意を払うことを心がけるようにした方が良いと思います。
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